ザルコン(透水性コンクリート吹付工)

工法紹介

ザルコン®
(透水性コンクリート吹付工)

1.概要

モルタル・コンクリート吹付工は、法面の風化・侵食防止や小規模な落石を防止する目的で広く採用されていますが、湧水など水の影響を受ける箇所では、施工直後から背面地山の風化や凍上凍結などによるひび割れや剥離等の劣化が始まり、ライフサイクルコストが増大する要因となっています。
ザルコンは、内部に連続空隙を持つ“ザル”のような透水性コンクリートを急勾配の法面に吹付けることで、水の影響を受ける法面の侵食や崩壊の抑制をはかることができる開放型の法面保護工法です。
湧水法面をはじめ、ダムの湛水面や河川護岸の堤外地など、水の影響を受けやすい箇所に対して地下水や残留間隙水を速やかに排水し、背面地山の劣化や空洞発生抑制がはかられ、地山の安定性が維持されることにより国土強靭化(防災・減災)や、法面インフラの老朽化対策(長寿命化)にも寄与する技術です。

2.特長

①工法の特長

  • 優れた透水機能を持ち、法面の侵食・崩壊に対する抑制・保護が可能。
    現場練りの特殊透水性コンクリートを法面に吹付けることにより、湧水が見られる斜面でも優れた透水性と強度を発現し、永続的に法面の侵食や崩壊の抑制がはかれます。
  • 優れた施工性能により過酷な現場条件にも対応可能な透水性コンクリート工法。
    従来のポーラスコンクリートは、生コン車による材料をクレーンにより現場打設するかプレキャスト製品のみで、適用可能な箇所が著しく制限されていました。
    当工法は、長距離圧送可能な吹付工法で透水性コンクリートを造成するので、大型重機が侵入できない既存のダム貯水池法面や供用中の道路法面等の現場条件でも、また凹凸のある急勾配の自然斜面でも適用が可能です。
  • ライフサイクルコストが安価な法面保護工。
    モルタル吹付工に比べ、単位セメント量が約70%、単位水量が約40%と非常に少なく、また短繊維を混入した吹付コンクリートのため、硬化・乾燥収縮によるひび割れの発生を低減した耐久性の高いコンクリート構造物です。
  • 法面吹付コンクリート構造物としての耐久性を確保。
    現場練りの特殊透水性コンクリートを法面に吹付けることにより、湧水が見られる斜面でも優れた透水性と強度を発現し、永続的に法面の侵食や崩壊の抑制がはかれます。

②ザルコンの機能

〈 道路法面での排水機能 〉

〈 ダム湛水法面での排水機能 〉

③ザルコンの透水性と法面保護工としての有効性

ザルコンは礫相当の透水係数(1×10-3m/s以上)と連続空隙による細孔構造を有することから、雨天時には表面流下水や背面地山からの浸透水をザルコン表面と内部の連続空隙を通じて流下速度を減衰させながら法尻部へと導きます。これは、ザルコンの透水係数が地山の透水係数(10-5~10-9m/sオーダー)に比べ、格段に大きいためです。
吹付けたザルコンの背面は侵食されずに長期間保持できる耐久性を有するため、密閉型のモルタル吹付工等に比べ法面保護工としてのライフサイクルコストが安価といえます。

④用途

・道路事業
① 法面保護工(従来のモルタル・コンクリート吹付工適用箇所)
② 道路側溝および小段排水溝(流水部に有孔管を布設し、その周辺部の間詰めに適用)
③ 斜面沢部の水路を兼ねた法面保護工

道路事業

・河川・砂防事業
① 河川法覆護岸工
② 砂防ダム堤体周辺の法面保護工
③ 急傾斜地の法面保護工
④ 地すべり斜面の法面保護工

【 既設急傾斜地対策施設の更新事例 】

  • 河川・砂防事業 施工前〈 施工前 〉
  • 河川・砂防事業 施工後〈 施工後 〉

・ダム・ため池事業
① ダム湛水面の法面保護工
② ため池堤体の法面保護工

ダム・ため池事業

3.ザルコンの性能

〈 透水性コンクリートの性状比較 〉

ザルコンの性能図

4.ザルコンのタイプ

〈 ザルコンのタイプ 〉

ザルコンのタイプ表

5.ザルコンの吹付厚目安

〈 吹付厚さ選定フロー図 〉

吹付厚さ選定フロー図

6.施工事例

【 新設ダム湛水法面の施工事例 】

  • 〈 ザルコン施工直後 〉
  • 〈 ザルコン施工後 16年経過 〉

【 道路沿いの湧水法面の施工事例 】

  • 新設ダム湛水法面の施工前〈 ザルコン吹付状況 〉
  • 新設ダム湛水法面の施工後〈 ザルコン施工後透水状況 〉

7.カタログダウンロード

詳しいカタログはこちらから
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工法カタログ